勝利する者は The Dogs of War, America and Iraq. 2003 4 30

 脳天気な政治家は、戦争が早期に終結した喜んでいますが、
心ある政治家は、今後の世界の行く末について、心を痛めているのです。
 今回の肺炎騒動で、ASEAN諸国は一致団結し、中国も含めて解決に当たりました。
この一致団結は美談となりますが、ある方向へ向かうかもしれません。
 ロシアも、旧ソ連諸国と一致団結を図り、協調体制を築こうとしています。
 フランスも、かつての敵であるドイツと手を組んで、
EU内の一致団結を図り、協調体制を築こうとしています。
 イギリスは、アメリカと協調体制を守りたいのですが、
ヨーロッパ諸国とも一致団結を図り、協調体制を築きたいのです。
 さらに今回の戦争で、いつもは、バラバラだったアラブ諸国が一致団結をしようとしています。
 この一致団結や協調体制という動きが、今後の国際情勢の行く末を見るポイントとなります。
これは、いつか来た道なのです。前にも、世界史でこのような状況があったはずです。
地域内での協調体制の確立が、世界協調体制の確立とはならない可能性があるどころか、
世界協調体制を揺るがす要因となる可能性があるのです。
 こういう世界情勢になりつつある現在、外交というものは、相当な力仕事となるのです。
こういう状況で、日本はどうするか。明確な外交哲学を持たなければならないのです。
下手をすれば、日本は孤立してしまうのです。
そうならないためにも、日本の高度な科学技術でもって、積極的に各国を支援するべきなのです。
各国を経済援助するのではなくて、科学技術で各国を援助すべきなのです。
これが、西洋風に言えば、騎士道精神なのです。日本では、武士道精神なのです。
「私は日本のために、日本は世界のために、世界はイエスキリストのために、
 そして、すべては神のために」と言ったのは、内村鑑三という宗教家でした。

 それにしても、国際協調体制がなくなった現在、巨額のオイルマネーがどう動くか。
巨額のオイルマネーが動くと、経済大国のアメリカや日本は耐えられますが、
それ以外の国は耐えられません。
 こういう観点で、国際情勢を見ると、あの戦争で最終的に勝った者は誰なのか、
はっきりしなくなるのです。
 そういうわけで、アメリカ政府の閣僚が精力的に各国を訪れて説得にあたったり、
今後、積極的に閣僚が各国を訪問することになるでしょう。
中東、欧州、東欧、ロシア、ASEANと、おそらく自国にいられないほど忙しくなるかもしれません。
 物見遊山の日本の政治家と違う目的があるのです。

 それにしても、イラクの多数派を占めるシーア派が政権を取ると、どうなるか。
これは、イラン以上に祭政一致の政権となる可能性があります。
だからこそ、宗教指導者を国王に仕立てて、実際の政治運営は、
選挙によって選ばれた首相が行なえばよいのです。
こうすれば、いくら政変で首相が倒れても、国の政体は安定しています。
 中途半端に大統領制を作ってしまうと、宗教指導者兼政治指導者の大統領ができてしまいます。
もちろん、この大統領が徳ある政治家なら、すばらしい政治が出現しますが、
問題は、そうでない大統領が政権を握った時です。
それは、今のイラン以上の強力な政権ができます。
これでは、フセインと大して変わらなくなってしまいます。